某金融機関のリスキリング施策がニュースに乗り、ネットの一部で話題になりました。
目標とするスキルレベルに基礎資格と高い業務能力が並んでいることから、「その程度の資格で何ができるのか」という冷たい反応や怒った(?)反応が多数挙がっています。もっとも、真面目に怒っているのではなくて、大喜利的に楽しんでいるものも多いと思われます。企業のデジタル施策に対してネット上で疑問が挙がるのは珍しいことでもないでしょう。ただ今回は他人ごとではなく頭に置きたいなと思う部分があったので、熱の残るうちに書き留めておきたいと思います。
リスキリングって?
リスキリングとは、大きくはデジタル化を背景としたビジネスや働き方の変化に伴う学び直しを意味して使われるようです。昨年度からバズワードのように耳にすることが増えてきたと感じます。学び直しは競争力強化のため多くの企業で中期経営計画等の経営論点に挙がり、また私のようないち現場社員としても人事制度、研修制度等で変化を感じることとなりました。
学び直しの施策への冷たい反応の中で心に留まったのは、「基礎資格では実業務には役に立たない」「中途半端に首を突っ込まれるのは嫌だ」というものでした。
実務経験が重要である
リスキリングにあたっては、企業が研修を提供してくれることが増えるでしょうし今では(昔から?)ネットでも良質なコンテンツがあふれています。一方で仕事で使えるまでのギャップを具体的にどのように埋めるかは、見えない場面も多いと思われます。私自身も日々の業務からは遠い技術について、研修受講や資格取得を通して基礎を学びました。直近でも普段触れないAWSについての初歩的な学びを始めブログに書いたりしてます。でも、それら知識を使って当該分野で業務遂行できるかと問われると難しく感じます。
一方で、日々の業務で少しでも重なる部分があれば、学んでおいてよかったと思う場面はあります。システム開発は現場によって作法が異なりますが、情報処理系試験等の内容を共通言語として話せるのは心強くありました。座学を足掛かりに何らかの仕方で実務を経験できれば、徐々に血肉にしていくことができるだろうと思います。どのような業務にどんな役割で関わるのかが見えていれば、座学としても目的意識を持って知識拡充できます。
中途半端に首をつっこまれるのは嫌だ
顧客や上役とへ説明する際に、ともすれば「いいから承認してほしい」という構えがどこかにあるかもしれません。中途半端に首を突っ込まれて困ってしまうのは嫌だから。そもそもから説明して、関係ないところに飛び火して、何回も説明して、期限は超過して……というのは避けたい。でもきちんとすりあわせるのが望ましいし、そのうえで納得いただけたら嬉しい。だからわかっていただくための土台として基礎資格に相当する知識があるのはとても助かるな、と思いました。 また自分自身が中途半端な知識で首をつっこんでしまいそうになるときは、困らせないように、でもスルーしないようにしなければいけない。
個人として
リスキリングとして上から降りてきたとき、勉強しなければならない、資格や研修を強制されるのは嫌だという気持ちを否定できません。 やる気のやる人は言われなくてもやるだろ、放っておいてくれ……と。あるいはわかったうえでポーズや別のメッセージとしてしているだけではないか?と。
でも、外部要因や裏のメッセージはどうであれ、結局のところ謙虚に学び続けるほかないのだと思ってます。ずっと今の業務を続けられるのではないのであれば、次の種を探さなければいけないから。すぐには使わないから……というのではなく、積極的に知識を集めていく。自分の目指す姿を定義し直し、学び続けていく……。
私はITパスポートもってないので、さっそく学び直しが必要です。
参照
デジタル時代の人材政策に関する検討会 (METI/経済産業省)
令和4年10月3日 第二百十回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ